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アパレルOEMの費用は、何で決まるのか:見積もりの読み方と、ロットの考え方

生地と電卓、原価計算のシート

アパレルOEMの見積もりを並べたとき、単価の差がどこから来ているのかを説明できるでしょうか。同じアイテムでも、価格の条件や原価の中身、数量の考え方が違えば、金額はいくらでも変わります。ここでは、費用の感覚をつかむための目安とあわせて、見積もりを正しく比べるための読み方を整理します。

「1枚いくら」は、条件の集まり

見積もりの単価は、それだけで意味を持つ数字ではありません。どの生地を使うのか、何枚つくるのか、どこまで運んだ価格なのか、検品は含まれているのか。こうした条件をすべて積み上げた結果として、ひとつの単価が出ています。

そのため、見積もりを比べるときに最初にすべきことは、金額を比べることではなく、条件をそろえることです。

その価格は「どこまで」の価格か

海外生産の見積もりでまず確かめたいのが、価格条件です。同じ1,500円でも、工場から出すまでの価格なのか、日本の倉庫に届くまでの価格なのかで、実際にかかる費用は大きく変わります。

価格条件 含まれる範囲 別にかかるもの
工場渡し(EXW) 工場で製品を引き渡すまで 輸出通関、国際輸送、保険、輸入通関、関税、国内配送
FOB 輸出する港で船に積むまで 国際輸送、保険、輸入通関、関税、国内配送
CIF 日本の港に着くまでの運賃と保険 輸入通関、関税、国内配送
DDP(国内納品) 指定先に届くまで。関税も含む 原則なし(輸入消費税の扱いは要確認)

工場から直接取る見積もりはFOBやEXWが多く、商社やOEM会社の見積もりはDDPが多い傾向があります。FOBの見積もりとDDPの見積もりをそのまま比べると、FOBのほうが安く見えるのは当然です。アイテムや輸送方法にもよりますが、輸送や通関、関税を足すと、FOBから1〜2割ほど上がることも珍しくありません。比べるときは、どちらかの条件に換算してから並べます。

製造原価と、卸価格は別のもの

もうひとつ混同しやすいのが、製造原価と卸価格(下代)です。OEMの見積もりは、ブランドが製品を仕入れる製造原価です。ブランドが小売店に卸すときの卸価格とは、まったく別の数字です。

一般的には、上代(販売価格)に対して、卸価格は50〜60%前後、製造原価は25〜35%前後に収まるように組み立てられることが多いといわれます。たとえば上代12,000円の製品なら、卸価格は6,000〜7,200円、製造原価は国内に届くまでで3,000〜4,200円ほどが一つの目安です。見積もりを見るときは、単価そのものより、この比率の中に収まっているかどうかで判断すると、全体像を見失いにくくなります。

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原価の内訳

製造原価を分けると、おおよそ次のような項目になります。割合はアイテムや仕様によって大きく変わるため、あくまで目安です。

項目 主な中身 割合の目安
生地 表地、裏地、芯地 40〜60%
付属 ボタン、ファスナー、ネーム、下げ札、袋 5〜15%
工賃 裁断、縫製、仕上げ 15〜30%
加工 プリント、刺繍、洗い加工 0〜15%
検品・管理 検品、生産管理、手数料 5〜15%
物流・関税 国際輸送、通関、関税(DDPの場合) 5〜15%

もっとも大きいのは生地です。生地の単価だけでなく、1着に何メートル使うか(用尺)も原価を左右します。柄を合わせる裁断や、パーツの取り方ひとつで用尺は変わるため、同じ生地でも原価は動きます。

アイテム別の単価の目安

費用の感覚をつかむための目安として、アイテムごとの単価の幅をまとめました。中国で生産し、1型あたり300〜500枚程度、生地・付属・工賃を含むFOB相当の単価を想定しています。プリントや刺繍などの加工は含みません。

アイテム 単価の目安 単価を動かす主な要素
Tシャツ・カットソー 800〜2,000円 生地の目付、リブの仕様、洗い加工
スウェット・パーカー 1,800〜4,000円 裏毛か裏起毛か、目付、付属
シャツ 2,000〜4,500円 生地、柄合わせ、ボタン
パンツ 2,500〜5,500円 生地、ポケットの数、洗い加工
ニット 2,500〜7,000円 糸の素材、ゲージ、編み方
ウールコート 8,000〜20,000円 生地、裏地の有無、手作業の工程
ダウン 7,000〜20,000円 ダウンの混率と充填量、生地
バッグ(布製) 1,500〜5,000円 芯材、金具、パーツの数

このほか、初回にはパターン代やサンプル代がかかることがあります。1型あたり数万円程度が目安ですが、見積もりに含まれているか、別に請求されるかは会社によって違います。

※単価と割合は、一般的な目安です。素材や仕様、数量、為替によって大きく変わります。

ロットで、何が変わるのか

数量が少ないほど単価が上がるのは、生産に数量と関係なくかかる手間があるからです。縫製ラインの段取り、試し縫い、生地を重ねて裁断する作業、色を替えるたびの糸の交換。こうした手間は、100枚でも1,000枚でもほぼ変わらず、少ない枚数で割るほど1枚あたりの負担が大きくなります。

もうひとつ知っておきたいのは、ロットは縫製の枚数だけで決まるわけではないことです。生地や染め、編み立てにも、それぞれの最小単位があります。

  • 縫製:1型あたり100〜300枚程度からが一般的
  • 既存の生地を使う場合:1ロール(反)単位での購入
  • 生地を別注の色に染める場合:1色あたり数百m単位
  • 生地そのものを編む・織る場合:さらに大きな単位

たとえば1型300枚でも、3色×5サイズに分けると、1色あたりは100枚です。別注の色で染めるなら、染めの最小単位に届かないこともあります。ロットは「合計で何枚か」ではなく、「色ごと、素材ごとに何枚か」で考える必要があります。

安い見積もりに潜む落とし穴

単価が安い見積もりには、安くなっている理由があります。その理由が工夫によるものなのか、何かを削った結果なのかを見分けることが大切です。

条件が違うだけ

FOBとDDPの違いのほかに、検品やサンプル代、パターン代が別になっているだけ、ということはよくあります。最終的に支払う総額で比べると、差がなくなることも少なくありません。

生地や付属のグレードが下がっている

生地の目付が軽くなっている、混率が変わっている、ファスナーやボタンが別のものになっている。見積もりに生地の品番や付属の仕様が書かれていない場合は、とくに注意が必要です。

検品や管理の工程が省かれている

検品を抜き取りだけにする、中間の検品をしないといった形で、管理の工程が削られていることがあります。問題が見つかるのが納品後になれば、やり直しの費用と時間は、見積もりの差をすぐに上回ります。

別の工場に回されている

受けた工場が、さらに別の工場に仕事を回していることもあります。実際につくる工場が見えないと、品質の責任もあいまいになります。

再生産で、同じ品質が出ない

初回だけ条件のよい価格で受け、再生産のときに工場や生地が変わって品質がそろわない、ということも起こります。売れて追加で生産したいときに同じものがつくれないのは、ブランドにとって大きな損失です。

小ロットに潜む落とし穴

小ロットは、テスト販売や新しいアイテムを試すときには有効な選択肢です。ただし、数量を抑えることで失うものもあります。

使える生地が限られる

別注の最小単位に届かないため、工場や生地屋の在庫生地から選ぶことになりがちです。在庫生地は廃番になることもあり、再生産のときに同じ生地が手に入らない場合があります。

生地や付属が余る

製品は100枚でも、生地はロール(反)単位、付属は最小ロット単位でしか買えないことがあります。余った分も原価に含めると、1枚あたりの実質の単価はさらに上がります。

納期が後回しになりやすい

工場にとって、数量の少ない案件は生産の計画に組み込みにくいものです。繁忙期には、大きな案件が優先されて、納期が延びることがあります。

量を増やすときに、工場を替える必要が出る

小ロットが得意な工場と、量産が得意な工場は違うことが多くあります。数量が増えて工場を移すとき、縫い方や仕上がりが変わり、仕様を一からそろえ直すことになる場合があります。

安さも小ロットも、それ自体が悪いわけではありません。大切なのは、その価格や数量で何を得て、何を手放しているのかを知ったうえで選ぶことです。

見積もりを比べるときに確かめること

  • 価格条件(EXW・FOB・CIF・DDP)がそろっているか
  • 生地の品番、混率、目付が書かれているか
  • 付属の仕様が書かれているか
  • パターン代、サンプル代、型代が含まれているか
  • 検品の方法と費用が含まれているか
  • 色やサイズごとの最小数量はいくつか
  • 為替の前提と、見積もりの有効期限
  • 支払いの条件(前払いの割合など)

MONOIDの見積もりの考え方

MONOIDでは、まずご予算と、つくりたい商品の条件をお伺いするところから始めます。そのうえで、条件に合う生地を探し、仕様や工場の組み合わせを考えながら、見積もりを組み立てていきます。

ロット数や費用感が合わないこともあります。そのときは、生地や仕様、数量を見直しながら、お客様と相談して調整します。先に安さを約束するのではなく、ご予算の中で求める品質に近づける道筋を、一緒に探すことを大切にしています。

品質マネジメントシステムの認証

MONOIDのグループ会社で、中国・南通に拠点を置く南通全日通供应链有限公司(NANTONG CILEL SUPPLY CHAIN CO., LTD.)は、サプライチェーン管理サービスを対象に、品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001:2015の認証を取得しています。品質の管理を個人の経験だけに頼らず、仕組みとして運用していくための取り組みです。

南通全日通供应链有限公司のISO9001認証書(中国語)
認証書(中国語)・クリックで拡大
NANTONG CILEL SUPPLY CHAIN CO., LTD.のISO9001認証書(英語)
認証書(英語)・クリックで拡大

※認証機関:北京中物联联合认证中心(CNAS認定)/登録番号:06524Q02998R0S/認証範囲:サプライチェーン管理サービス/有効期間:2024年12月9日〜2027年12月8日

できるだけ安く、できるだけ少ない数量から始めて、リスクを抑えたい。アパレルOEMでそう考えるのは、誰にとっても自然なことです。ただ、価格と数量だけで選ぶと、品質や納期の安定、売れたときに同じものをつくり直せることなど、ブランドを続けていくうえで欠かせないものを、かえって失ってしまうこともあります。

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見積もりは、金額ではなく条件で比べる。